臆病者で何が悪い!
「俺も、聞いてもいいか?」
「なに……?」
沙都の肩がわずかに上がった。
怖くて仕方がないけれど、聞いておきたかった。
「飯塚が帰った後に田崎が来たんだよな? 田崎は、おまえに何か言った……?」
おそらく田崎は飯塚がいないのを見計らって来たはずなんだ。
ということは、何か目的があってのこと。
一つは、俺と鉢合わせるため。
それ以外にも、何か。
例えば――。
『好きだよ。だから、彼女を傷付けるようなことはしない。安心して』
さっき、田崎ははっきりとそう言った。それはまるで、俺への宣言のように聞こえた。
「特には、何も……。でも、生田に会うためだったんだね。田崎さんが生田のことをそんなにまで嫌う理由ってなんなんだろ」
沙都が怒ったように言う。
俺の胸にまた一つ、鉛のようなものが落ちる。
「ーー沙都。さっきも言ったけど、何か困ったことがあったら必ず俺に言ってくれ。それがどんなことでも。知らないでいることの方がきついからさ」
「生田……」
沙都の目がゆらゆらと揺れている。
多分。田崎は、沙都に伝えたんだろう。『好き』だって。
沙都の目を見たら、そんな気がしてならなかった。
いろいろ考えて、俺に少しでも気にさせないために、不安にさせないためにって言わないことにしたのか。
俺は、おまえを繋ぎ止めておけるのか――?