臆病者で何が悪い!
愛おしい。
愛おしい――。
沙都の頬に手のひらを添わせ、性急に唇を塞ぎ深く入り込む。
甘く漏れる吐息がさらに俺を狂わせるから、大人の男の余裕なんてものは沙都の前では消え失せて。
ただ目の前の愛しい人のことしか考えられない。
夜の帳がおりるなか、この部屋には二人しか存在しない。
誰にも見せない。
「……ま、眞、好きっ」
切なげに眉をしかめて、瞳を潤ませて、色付いた唇でそんな言葉を零す姿を、
誰にも知られたくない。
「そんな顔、見せていいのは俺だけだから。俺しか、知らなくていい――」
汗ばんだ白い肌は心地よく密着して、触れた先から想いが溢れ出す。
細い首筋に唇を這わせれば、好きだと囁いた口から短い吐息を吐いた。
唇が綺麗な鎖骨にたどり着けば、身を少し捩る。
肩を掴み、鎖骨から下へ下へと唇を滑らせれば、艶めかしい声を上げた。
その声は、普段の沙都からは決して聞くことはできないもの。
頬も、唇も、首筋も、肩も、腕も、胸も、そして声も。
沙都を形作るものすべて、俺だけのものだ。
みっともない独占欲に、いつか沙都に呆れられてしまうだろうか。
「沙、都……」
どうしてこんなにも沙都でなければならなかったのだろう。
こんなにも執着して、自分自身なんて失くしてしまうほどに愛してしまった。
時折苦しくなるほどだけれど、それでも、こんなにも愛した人と一生共にいられることの意味を思えば、幸せでたまらなくなる。
「……おまえのことになると、余裕ない」
この身体のどこもかしこも俺を欲情させて、ただの愚かな男へと変えてしまう。
沙都の太ももを持ち上げ、その裏側を舐めあげる。
「触れてるだけで、顔、見てるだけで、すぐに――」
――耐えられなくなる。
「お願い……っ」
でも、沙都も、同じように俺を求めてくれるのが、何より俺を興奮させる。