臆病者で何が悪い!
――男と二人で飲んでいても、デート中だと思われない。
そのことに、自分で自分に苦笑する。
まあ、そうだよね。
確かに私はこんなイケメンと付き合っているような女には見えないし、それにさっきから生田と大した会話もしてない。だからと言って、見つめ合って二人の世界に入り込んでいる雰囲気とも程遠い。
そう見えても、仕方ないか……。
今度は、ふっと笑ってしまった。そんな私とは反対に、生田は大きな溜息をついている。
「私に気を使う必要なんてなかったのに。あの人たち、結構美人だったじゃない。隣に美女がいた方がお酒も美味しくなったかもよ?」
私が笑ってそう言うと、生田がじろりと私を睨むように見て来た。
「は?」
「私、こういうの慣れてるし。別に、そんなことでいちいち気分害したりしないよ?」
手にしていたジョッキに残っていたビールを一気に飲み干す。それにしても、今日のビールは美味しいな。
「……こういうのって、どういうのだよ」
「え?」
生田の声がさらに低くなったような気がして、思わずその顔を真顔で見つめてしまった。
私はへらへらとしているというのに、何を怒ってんだろ。
「――だから、後からカワイイ子が来て、そっちと盛り上がっちゃうとか。男って、そういうことよくあるじゃ
ん?」
大学時代、サークルの飲み会もゼミの飲み会も、似たようなことはしょっちゅうあった。
女子力が大幅に欠如した私が、男女の輪の中で自分の居場所を見つけるために培ったキャラクターは「サバサバ姉御肌」の女。異性を意識させない、話し易い面白い人。意識してそういう風に振舞っていたら、いつの間にかそれが板についていた。
そんな努力の甲斐もあって、大学時代以降は男も女もそれなりに友人が出来て。飲み会でも男友達とワイワイ騒いでいた。私も盛り上げ役を買って出ていたし、その場にいた男友達もそれなりに楽しんでいたはずなのだ。
でも、だいたいいつも遅れてやっくるマドンナが店に現れて席に着くと、男友達は皆そっちへさーっと波が引くように行ってしまった。
今、私と会話してた途中だったよね――?
気付くと一人取り残されていた。今の今まで一緒に騒いでいた男友達が、マドンナの回りを囲んでいる。その背中を見つめて思ったのだ。
うん、仕方ない。そう、仕方のないことなんだ。
そう自分を納得させた。
誰だって、同じ時間を過ごすならお気に入りのカワイイ子と飲む方がいいに決まってる。それを責める方が間違ってる。落ち込んで余計に惨めになるよりも、そうやってその状況に納得する方がいい。ずっとそう思って来た。
「あんた、俺をバカにしてんの?」
「へ?」
え? バカに? 何を?
生田の言葉の意味が分からなくてぽかんとする。