臆病者で何が悪い!
「行くぞ」
少しずつ明るみを増して行く光が生田を照らして。私は慌ててその背中を追う。ただドキドキと忙しく鼓動を刻んでいるのは確かだけれど、私にはどうしたらいいのかなんて分からなかった。
それからお互い言葉を交わすことなく、駅の改札へと着いてしまった。
「気を付けて帰れよ。今日は、ゆっくり休んで」
「生田っ。あの」
そのまま帰ってしまいそうになった生田を慌てて引き留める。何も生田に言えていない。どれだけ救われたか、どれだけ温かかったか。
「本当に、ありがとう。生田が一緒にいてくれて、辛くならずにすんだから。感謝してる……」
この感情すべてをそれで表せてるのか自信はない。でも、何かを言わずにはいられなかった。
「別に、感謝なんかされたくない。俺はそんなに優しい人間じゃないって言ったろ。俺のことをもっと考えさせるためにしたんだ。じゃあな」
両手をポケットに入れて元来た道を歩いて行く生田をただ見つめる。そんなこと言って、私に一体どうしろと言うのだ。
でも、もう私は分かってしまった。
生田がどう言おうと、生田の根っこの部分は、絶対にあったかい人だって。