臆病者で何が悪い!
それにしても、気が重い。足が重い。ただでさえ憂鬱な月曜日の朝。
私、一体どんな顔して生田に会えばいいんだ……。
地下鉄に揺られながら、心もぐらぐらに揺れている。別れ際、生田はどこか怒っていたし。そもそも、その前にはいろいろしちゃってるし。
こんな悩み、したことないんですケドっ!
って誰にぶつけているのかもはやわからない怒りすら湧きあがる。
それでも、この足は我が職場へとたどり着く。
「……お、はようございます」
自然と小さな声になっている始末で。この目は生田の席へと向けられる。
まだ、来ていないみたいだ……。ふうっと息を吐く。
こんなことで、私、大丈夫なのか。
とりあえず、仕事仕事。週はじめだから、大まかなスケジュールを確認しなければ。
パソコンを立ち上げ、カレンダーに目をやる。
「おはようございます」
ひっ――。
非常に敏感に反応してしまう声が耳に届く。すぐ真後ろに迫るその声に、肩が強張る。ほんのわずかも身体を動かさない。その行動に何の意味があるのかは分からない。
「生田さん。朝一で会議やるから準備して。先週金曜日、急に振って来た案件だから」
「分かりました。じゃあ、会議室押さえて来ます」
背後で、生田の係がバタバタし始めて、気付くと静かになっていた。
「会議かぁ。助かった……」
「なに? なんで隣の係が会議だと内野さんが助かるの?」
「えっ。私、何か言いましたか?」
「うん。はっきりと」
向かいに座る結城さんが目をぱちくりさせている。心の声が外に出てるなんてかなり重症だ。
とりあえず、午前中はのびのびと仕事が出来るだろう。それまでは何も考えまい。
のびのびと仕事する、なんて意味がわからないけれど、まさしくそんな気分だった。
結局、お隣の係の会議は終わる気配もなく、昼休みになっていた。
生田が帰って来る前にと、私はそそくさと一階ロビーへと向かう。
そう。希と一緒にお昼を食べる約束をしているのだ。
エレベーターで一階にたどり着くと、ロビーの柱に佇む希の姿がすぐに視界に入った。その表情は、どことなく固い。希は希で緊張しているのだと分かる。私も一度大きく息を吐いて、希の元へと駆け寄った。
「希!」
顔を上げた希は、ぎこちない笑みを浮かべた。