臆病者で何が悪い!


「それはそうと――」

そんな希に見惚れていると、表情をがらっと変えた希が私の顔を覗き込んで来る。

「な、なに? その顔」

私が思わず身を引くと、希がじりじりと私に詰め寄って来る。

「沙都と生田君って、どうなってるの?」

「え?」

「私、何も知らなかったから、先週の金曜日びっくりしちゃったんだけど」

「へ?」

間抜けな平仮名が口をついて出て来るだけの私に、希の追及の手は止まらない。

「突然飛び出した沙都を見て驚いて、それを追いかけようとしたのが生田君だから、さらにみんな驚いて。そしたら、生田君――」

そう言えば生田、『みんなには上手く誤魔化しておいたから心配するな』とかなんとか言っていたはずだけど……?

急にあの時の不安が蘇って来る。

「『内野が突然出て行ったのは、俺のせいだから』って」

は――?

「『俺が内野に強引に迫り過ぎて困らせた。だから気にしないで飲み会続けてくれ』って言って出て行っちゃった。そんなの、気にしないでいられるわけないよね? みんな、一瞬よくわからなくてシーンとなって、それでハッと我にかえったように大騒ぎになったんだよ」

はぁ――? 俺が強引に迫り過ぎただ――?

なんだそれ。何が、適当に誤魔化しておいただ。上手いことやっておいただ。

全然、上手く処理できていないじゃないの!

あの男――。

「ねえ、沙都。それって、どういうこと?」

どういうことなのか、私が聞きたい。

「ど、どういうことだろうねぇ。私の方が聞きたいな……」

視線を泳がせて、私も誤魔化す。

「あの後、沙都は生田君と二人でいたの?」

「あ、それは……」

その説明はなかなか一言では済まない。だからと言って、あの日の出来事を事細かに説明する気にもなれない。もごもごと口籠っている私に、容赦なく希が攻めて来る。

「生田君って、沙都のこと好きなの?」

希の大きくて真っ直ぐな目が私をじっと見ている。間髪入れずにその問いにだけは答えることが出来た。

「そんなわけないじゃんっ!」

「おおっ。その質問にははっきり答えるんだ。私には、そんなわけないようには見えないんだけど?」

希、自分の話が終わった途端にノリノリでこわい。

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