キミが可愛いわけがない





バカみたい…。


なんで私、こんなところにいるんだろう。


『デート』
なんて、響きだけだけど、それは私にとって生まれて初めてのことだ。


週末、私は仕方なく、有馬とのデートに渋々オーケーを出して、今待ち合わせ場所の時計台にいる。


男の子と待ち合わせ場所を決めて、休みの日に出かけるなんて。


こんなこと、芽郁とだって、もちろんしたことない。



「あっ!柚希っっ!!」


っ!!


名前を呼ばれて顔を上げると、待ち合わせ場所の時計台から少し離れたそこから手を振ってる有馬の姿が見えた。


うっわ。


なんでわざわざ、でかい声で名前呼ぶかな…。


周りの人たちにチラッと見られて恥ずかしい。


こんなの、絶対カップルだって勘違いされるじゃん。


「本当に来てくれたぁー!」


ニコニコと嬉しそうに駆け寄る彼から、パッと目線を晒す。


学校でもイケメンだって言われているんだから、私服で外を歩く彼だって周りの女の子たちはほっとかない。


彼女たちの目は有馬に釘付けだ。


それがすごくムカつく。


『顔面はイケメンかもしれないですけど、こいつすごいプレイボーイですよ』


って教えてあげたい。


< 188 / 238 >

この作品をシェア

pagetop