キミが可愛いわけがない
「本当に何もないから!大丈夫だから…」
「本当に?」
っ?!
いちいち顔を近づけて私の顔を覗き込む有馬の行動は心臓に悪い。
「本当っ!」
「じゃあ、デートして」
「は?あのさ、会話になってないから」
「元気ってことは、デートする元気があるの方の元気だから」
「何その解釈。デートする元気はない!お願いだから絡んでこないで!」
私はそう言ってから、有馬を置いてくるっと向かってた方向に体を向けて、歩き出す。
「これで最後にするから」
「……」
何度か耳にした、ふざけていない有馬の落ち着いた声のトーン。
いつもこの感じで喋ればいいのにと思う。
ゆっくりと後ろを振り向くと、有馬が微笑んで立っていた。