蜜月なカノジョ(番外編追加)


ハーフだったという亡くなった祖母の血筋を引き継いだのか、少し日本人離れした容姿に恵まれた(?)俺は、昔から俗に言う「もてる男」という奴だった。
自分で言うかと総ツッコミされるのは覚悟の上だが、実際そうだったのだから認めない方がよっぽど嫌味な野郎だ。

だがそのもてっぷりに反して当の俺はと言うと、そのことを恵まれたことだと感じたことはただの一度もない。
この見た目故か、勝手にカッコイイ男像みたいなものを抱かれることが昔から多々あった。俺自身はどこにでもいるような普通の男だし、自分で自分をかっこいいだなんて思ったこともない。
が、俺を好きになる女はほとんどが見た目から入ってくるせいか、その作り上げた理想像を俺に押しつける傾向が極めて強かった。

だから付き合い始めたはいいものの、イメージと違うと不満を漏らされることがよくあった。そんなこと言われたところで俺は何一つ変わっちゃいないし、ましてや変えるつもりもさらさらない。
だから互いへの不満が蓄積してうまくいかなくなる___そういうことは一度や二度じゃなかった。


問題はそれだけじゃない。

自分の知らないところで勝手に王子と呼ばれ、さらにはファンクラブなるものまで存在し、抜け駆けする女には容赦ない制裁が与えられる___
日常的にそんなことが繰り返されていたと知ったのは、大学生の時に付き合っていた女性がある日逃げるように俺の前からいなくなってしまってからのことだった。
それに気付いた時のやり場のない愕然とした思いは、あれから何年も経った今でも自分の中で燻り続けているほどだ。

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