蜜月なカノジョ(番外編追加)
恋するオカマの奮闘記②
その日ボヌールを尋ねた俺は夢のような奇跡に遭遇した。
窓際の席でぼんやりと外を見ながらカプチーノを飲んでいる女性。
その人を一目見た瞬間、脳天に稲妻が落ちたかのような衝撃が走った。
あれは___間違いない。
あの時俺を助けてくれた女の子だ。
たった一度しか、しかもほんの一瞬と言っていいくらいの短い時間しか顔を見ていないが、それでも絶対にあの子だと確信した。
何故ならあの時の彼女の姿は一年以上が経った今も尚、俺の記憶に鮮明に焼き付いていたから。酷く怯えていたあの姿は強烈な記憶となって俺の心に留まり続け、いつしかあの子に会いたいというその一心で埋め尽くされていた。
どうしてそんな気持ちになったかなんてわからない。
ただあの子に会いたい。
そうしてあの時のお礼を言いたい。
彼女は元気にしているのだろうか?
女に関わらないために女装を始めたはずの俺が、気が付けば名前すら知らない女の子のことで頭がいっぱいになっていた。
その子が今目の前にいる。
この一年探し続け、会いたいと懇願してきた、あの子が。