蜜月なカノジョ(番外編追加)


「…なんて、もし本気で入りますなんて言われたら困るのは誰だっつー話だよな…」

シャーッと熱いお湯を全身に浴びながらはぁっと息を吐いた。

杏との再会から一年。
少しずつ距離を縮めて彼女からの信頼を得たという自信を持てるようになった矢先、杏がストーカー被害に遭っていることが判明した。
聞けば半年近くも悩んでいたのだと言う。何故もっと早く言わなかったのかと正直腹も立ったが、相談するということは即ち俺を巻き込むことに繋がると考えるのは当然のことで、杏が自らそんなことを望むはずがない。何故すぐにでも気付いてやれなかったのか、相変わらず自分の鈍感さを呪った。

すぐに俺のマンションへと連れて行こう。杏をいつどこから襲いかかってくるかもわからない恐怖や不安から守ってやるにはもうそれ以外に方法はない、そう思った。
本当はもっと前から考えていたことだったが、人一倍警戒心が強い杏を説得するのは容易なことではない。
だがもはや迷っている暇などなかった。

結局、強引に事を進めようとした矢先にストーカーと遭遇するという事態に陥り、説得するまでもなく杏にとって俺だけが心の拠り所となる結末を迎えた。

それから始まった同居生活ももうすぐで半年____

「いつかばれるに決まってるよな…」

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