蜜月なカノジョ(番外編追加)

鏡に映る自分の姿を見て溜め息が一つ。
裸になってしまえば所詮俺はどこからどう見ても男。むしろ半年もの間一つ屋根の下で生活をしていまだばれていないことのほうが奇跡に近い。
それだけ杏が俺を信頼してくれている証拠だと思えば思うほどに、罪悪感は募っていく。

ましてや最近は日を追う事に男としての本能が抑えられなくなっていた。
彼女に安心感を与えたくてやっていたスキンシップも、今では自分がやりたくてやっているようなものだし、毎晩この腕に閉じ込めて眠るのも彼女に触れていたいという己の欲望ゆえ。
明け方になれば悲しいかな男の生理現象には逆らえず、しかも目の前に好きな女が密着しているともなれば尚更のこと。
自分の体の変化を気付かれないために4時起きして色んな意味で落ち着かせることが日課になってしまった。

今だって杏の肌の柔らかさや温もりを思い出すだけで途端に下半身が力を持ち始める始末。

「はぁ…こんなんじゃあの変態共と変わらねーよな…」

それどころか性別を偽って傍にいるのだから彼女にとっては比較にならないほどの裏切りだろう。

信頼していればこそそのショックは大きい。


「正直に話したくても…言えねーよ…」

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