蜜月なカノジョ(番外編追加)
「ちょっと~、朝からその緩みっぱなしの顔なんとかなんないの?!」
「はぁ~? あんたこそ朝から失敬な女ね! 誰が緩んでるって言うのよ!」
「あんた以外にいないでしょうが! 鼻の下デレ~っと伸ばしちゃってさ。それで隠してるつもりなの?! ったく、朝から何してそんなにご機嫌なんだか…」
顔を合わせるなりぶつくさ呆れ顔の葵は最近いつもこの調子だ。
俺はいつも通り完璧なつもりなのだが、寝起きを杏と過ごすようになったその日から葵のこの愚痴は始まった。
…ってことはやっぱ顔に出てるってことか?
「こっちは男なしでわびしい日々を過ごしてるっていうのにさ。一生恋人なんかいらねー! とか言ってたあんたが今やそんなデロッデロしてるなんて…世の中不公平なんじゃないの?!」
「あんた完全な八つ当たりもいいところね…」
呆れつつも葵には多分に世話になっているだけに強く言えないのが痛いところ。
「そういえばあんたに言っておかなきゃと思ってたんだけど」
「…何よ。愚痴、説教ならお断りよ」
「そうじゃなくて、杏ちゃんの____」
そこまで言いかけたところでハッと葵が俺の腕を掴んで動きを止めた。
何だ?と思ったが、スタッフルームから女性の話し声が漏れてくる。
盗み聞きするような状況に葵を横目で見れば、黙ってろとばかりに首を振った。
…なんだ?