蜜月なカノジョ(番外編追加)

「杏は自分の事を子どもっぽいとか思ってるみたいだけど、全くそんなことないから。むしろ見る度に綺麗になっていく杏に焦ってるくらいで」
「えっ?」
「杏は全然自覚してないけど、最近は日を追う事に綺麗になってる。ボヌールの連中もそう言ってるし、さっきの広場でもチラチラ杏を見てる奴が何人もいた」
「そ、そんなこと…」
「あるから。杏しか見てない俺が言うんだから間違いない」
「…っ」

サラッとそんな殺し文句を口にするナオさんこそ色っぽすぎます!
完全に目が泳ぎまくってる私に気付いたナオさんは、苦笑いをしながらポリッと頬を掻いた。

「…って、ごめん。あー、ダメだな俺。完全に舞い上がってる」
「えっ?」
「杏とこうしていられることに自分で思ってる以上にテンパってるっぽい」
「えぇっ?!」

ナオさんが? どこからどう見ても普通に見えるのに?

「落ち着いてるように見えるんならそれは年食ってる分隠すのがうまいだけだよ。実際は中坊かってくらいにそわそわしてる。自分でもびっくりなくらいに」
「……」
「あー、こんなん言ってる自分が情けない」

唖然とする私に照れくさそうに笑うと、ナオさんがくしゃくしゃと自分の前髪を掻き乱している。
なんだかその姿を見ていたら、変に力の入っていた体がふっと抜けていく感覚に包まれた。

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