蜜月なカノジョ(番外編追加)
「はぁ…」
やめやめ!
せっかくの楽しい週末、こんなことで気持ちが沈んだらもったいない!
ナオさんも葵さんも、申し訳ないくらいに私を守ってくれているのがわかるし、私も自分からは絶対に隙を作らないようにしている。
現状これ以上できることはないし、多分彼の耳にも私に恋人がいるというのはそろそろ伝わっているはず。
だからそのうち今のような状況はなくなっていくはず…!
「…丸山?」
「えっ?」
うんうんと頷きながらマンションエントランスの電子パネルに触れたところで突然名前を呼ばれた。
「なっ…?!」
条件反射のように振り返って…そして数メートル先にいる人物に絶句した。
どうして…!
「やっぱり。なんか姿形が似てるからもしかしてそうかな~と思って」
「…っ」
嬉しそうに駆け寄ってくるその人、小笠原君に足が一歩引いてしまう。
それが見えたのか、一メートルほどの距離をあけたところで立ち止まった小笠原君が、苦笑い気味に頭を掻いた。
「すごい偶然だな。ここに住んでるのか?」
「ど、どうして…」
「あ、ここの近くに高級スーパーがあるだろ? そこでたまに掘り出し物の豆が仕入れられてたりするから。時々チェックに行ってるんだ。今日も戦利品ゲット」
「……」
嬉しそうに話す彼の手には確かにそのお店の袋がぶら下がっている。