蜜月なカノジョ(番外編追加)
「……そりゃあ本音を言えば私だって人並みにお付き合いとかしてみたいと思いますよ。でも現実はそんなに甘くはないですもん。だからそんな淡い夢を抱くことにも疲れたっていうか…」
そう。考えないわけがないじゃない。私だって女なんだから。
人並みに恋をしてお付き合いをして、そしていつかはお嫁さんに…
そんなありふれた夢を抱いていたことだってある。
でも周囲がそれを許してはくれないのだからどうしようもない。少し前進する度にことごとく現実がその夢を打ち砕いていくのだから。
終わりの見えないその酷な現実に、夢を抱くことすらなくなってしまった。
期待しなければ失望することもない。そう思いながら。
「……杏、自分で気付いてる?」
「…何に、ですか?」
「私のキスを受け入れてる理由」
「っ!」
この一週間、ただの一度もそのことについて触れたりしなかったのに。
いきなり核心をつかれて言葉に詰まる。
「私ね、杏がお祝いをしてくれたあの夜、自分の本能に逆らえなくてキスしちゃったこと…最初は後悔してたの。これでまた杏の男性恐怖症が酷くなったらどうしようって。責任を感じて一睡もできなかった」
「そ…うなんですか?」
コクンとすぐに頷いたナオさんに驚きを隠せない。だって次の日ナオさんはあまりにも普通で、だからこそあれは夢だったんだって思ってたのに___