百花繚乱 社内ラブカルテット
それを聞いて、彼ははあっと声に出して溜め息をつく。
「やるな、田神。まさか浮気相手を堂々と自宅に連れ込むとは……」
「は、話すだけかもしれません!」
樫本さんの思考が景の浮気で決定づけられるのを拒むように、私はそう言い張った。
そんな私に向けられるのは、どこか憐れむような茶色い瞳。
「あのなあ……古川さん。話すだけなら外でいいだろ。わざわざ自宅に連れ込む男なんて、聞いたことないぞ、俺は」
「うっ……だ、だったら、一緒に確認してください!」
私がムキになってそう言った時、前方を走るタクシーが景のマンションの前で停まった。
同時にこっちは徐行運転になり、樫本さんの声掛けで運転手さんが少し手前で車を停めた。
意味もなく息を潜め、タクシーから出てくる景と紀子ちゃんがマンションに入っていくのを見届けた。
呼吸を再開させるかのようにふうっと息をついてから、樫本さんが私に横目を向けてくる。
「確認、ね。いいけど。どうやって?」
訊ねかけてきた樫本さんに、私はバッグから取り出した鍵をグッと突き出した。
「やるな、田神。まさか浮気相手を堂々と自宅に連れ込むとは……」
「は、話すだけかもしれません!」
樫本さんの思考が景の浮気で決定づけられるのを拒むように、私はそう言い張った。
そんな私に向けられるのは、どこか憐れむような茶色い瞳。
「あのなあ……古川さん。話すだけなら外でいいだろ。わざわざ自宅に連れ込む男なんて、聞いたことないぞ、俺は」
「うっ……だ、だったら、一緒に確認してください!」
私がムキになってそう言った時、前方を走るタクシーが景のマンションの前で停まった。
同時にこっちは徐行運転になり、樫本さんの声掛けで運転手さんが少し手前で車を停めた。
意味もなく息を潜め、タクシーから出てくる景と紀子ちゃんがマンションに入っていくのを見届けた。
呼吸を再開させるかのようにふうっと息をついてから、樫本さんが私に横目を向けてくる。
「確認、ね。いいけど。どうやって?」
訊ねかけてきた樫本さんに、私はバッグから取り出した鍵をグッと突き出した。