百花繚乱 社内ラブカルテット
縺れ合うような物音に、私の目の前は真っ暗になった。
視界に何も映らなくなった分、ドアの向こうで繰り広げられている光景が、脳裏にくっきりと浮かび上がるようだった。
その場にいたのが私だけだったら、頑として信じない方に逃げることもできた。
だけど……幸か不幸か、私の隣には、樫本さんがいた。
あんなにはっきり聞こえる濡れ場のサウンドが、彼の耳に届いていないはずがなかった。
『君の彼氏、お盛んだな。ベッドまで待てないのか』
樫本さんの呆れたような独り言で、私は決定的に打ちのめされた。
足の力が抜けてその場に崩れ込みそうになった私を、樫本さんが支えてくれた。
そのまま、ほとんど抱えられるようにしてマンションを出て――。
気付いたら駅前の居酒屋で彼と向かい合って、生ビールのジョッキを手にしていたのだ。
『まあ、とりあえず。今夜はグーッと飲んで、パアッと忘れちゃいな』
軽い口調で『乾杯』と言って、私のジョッキに自分のそれをぶつけ、樫本さんは男らしくグッと煽った。
私の方はもちろんそんな気分じゃなかったけど、この状況で一人になったら、どんな気分になるかわからなかった。
だから約束通り一杯だけのつもりで飲み始め……二杯三杯とグラスを煽り、私はいつの間にかくだを巻いていたのだ。
視界に何も映らなくなった分、ドアの向こうで繰り広げられている光景が、脳裏にくっきりと浮かび上がるようだった。
その場にいたのが私だけだったら、頑として信じない方に逃げることもできた。
だけど……幸か不幸か、私の隣には、樫本さんがいた。
あんなにはっきり聞こえる濡れ場のサウンドが、彼の耳に届いていないはずがなかった。
『君の彼氏、お盛んだな。ベッドまで待てないのか』
樫本さんの呆れたような独り言で、私は決定的に打ちのめされた。
足の力が抜けてその場に崩れ込みそうになった私を、樫本さんが支えてくれた。
そのまま、ほとんど抱えられるようにしてマンションを出て――。
気付いたら駅前の居酒屋で彼と向かい合って、生ビールのジョッキを手にしていたのだ。
『まあ、とりあえず。今夜はグーッと飲んで、パアッと忘れちゃいな』
軽い口調で『乾杯』と言って、私のジョッキに自分のそれをぶつけ、樫本さんは男らしくグッと煽った。
私の方はもちろんそんな気分じゃなかったけど、この状況で一人になったら、どんな気分になるかわからなかった。
だから約束通り一杯だけのつもりで飲み始め……二杯三杯とグラスを煽り、私はいつの間にかくだを巻いていたのだ。