春色のletter
「夜梨子ちゃんは絵を描く仕事したいの?」


「う~ん、できればそうしたいんですけどね」


「やりたいことがあるのは幸せなコトだよね~」


こずえ先輩は机の上に座ると、足をぶらぶらとさせた。


「こずえ先輩はどうするんですか?」


「私は普通の大学」


「学部は?」


「国文かな」


「絵は…」


「絵はね、趣味。好きだけど才能ないし」


「そう…ですか」


そんなことないですよと言いたかったが、もう3年生の彼女には進路は現実だと気が付いた。


言うほど、私にも時間はない気がした。


(やるなら、本気出さなくちゃ)


ハルへの視線をやめると、私はまたノートを開いた。
< 128 / 487 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop