春色のletter
誰もいなくなったリビングで、私は外の夜景を見ていた。


この間来た時と違って、心が落ちついていた。


ドアの閉まる音がした。


「あの娘、ゆう太を抱いてぐっすり」


「そうですか」


沙也さんは、私の珈琲カップを下げると、新しいのを淹れて、ロールケーキのお代わりと一緒に持ってきた。


「さあ、どうぞ」


「ありがとうございます」


私はカップに口をつけた。


珈琲の香りが鼻をくすぐった。


沙也さんは、私の笑顔を見ながら一口飲んだ後、カップを膝に下ろした。
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