春色のletter

「やっぱり誰もいないや」


ハルが鍵を開けて「どうぞ」と手で促したので、中に入ってみた。


壁の至る所に張られたポスター、棚に並んだ本や備品。


真ん中にテーブルがあって、窓際にはソファ。


「へえ~、これが部室かあ」


「何か飲み物買ってこようか?」


「ううん、いい」


私は首を軽く振ると、テーブルの上のノートに気が付いた。


「これが連絡ノート?」


「そ。見ていいよ」


「うん」


中をめくると、文章だけでなくて、あちこちに絵も描かれていた。


「なんか楽しそうだね」


「でしょ。堀川先輩に伝言でも書いとけば?」


「うん。じゃあ」


私はバッグからペンを出すと、こずえ先輩に伝言をイラスト付きで書いた。


『こずえ先輩!お元気ですか?私は誰でしょう?』


描いたイラストで、きっとわかるはず。


「じゃあ、これでいいや」


ノートを置くと、棚の本を見てみた。
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