春色のletter
「タモリさん、いいっすよ」
「おう」
タモリさんは、すごく痩せた人だけど、ピアノの前に座ると、なぜかしっくりくる人だった。
彼が手をパタパタと振った後、鍵盤にその手を置いた。
一瞬の沈黙の後、すごい早さで、軽やかに鍵盤を叩いた。
ジャズだ…
すぐに、ハルがドラムを叩き始めた。
お互いが視線を投げ合っている。
少しハルがリズムを変えた。
すると、タモリさんがメロディを変えた。
しばらくしてタモリさんが曲調を変えると、ハルがそれに合わせた。
「すごい…音楽で会話してる」
私にはそう思えた。
そして、ラストまで一気に持っていって、見事に息のあったエンディング。
音のなくなった空間で、私は息を飲んでいた。