春色のletter
靴を履いて、スリッパを下足箱に入れた。


外に出ると、砂羽さんが竹箒で庭を掃いていた。


「おや、おはよう」


少し驚いたような目で私を見ている。


「おはよう」


「いいんじゃない?」


「え?何が?」


「まあ、いってらしゃい」


そう言って砂羽さんは軽く微笑むとまた掃除を始めた。


「行ってきます」


私はその側を逃げるように通りすぎた。


いろいろ聞かれないというのも、何か妙に気持ちが落ち着かないものだ。
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