HARUKA~恋~
校門をくぐる時、甲子園を目指して冬場も休まず外で鍛錬している野球部の人達とすれ違った。
大きなバッグを肩から斜め掛けし、さらに教科書でパンパンのリュックを背負っている。
大変そうだな、なんて、まるで他人事のように思っているが、私もあのくらい重い、いや、あれ以上重いものを背負っている。
ふう…
上り坂の疲れと目には見えない重い荷物のせいで、ため息をひとつ漏らした。
疲労感を全身から醸し出しながらゆっくり歩いていたから、昇降口に着く頃には完全下校時刻を大幅に過ぎ、ほとんど灯りが消えていた。
先生と鉢合わせしたらお咎めされる危険を感じ、急いでスニーカーを脱ぐ。
こういう時に履き慣れたスニーカーは有り難い。
すぐに脱げて、放置しておける。
階段に向かおうとして、足音が近づいてくるのに気づいた。
咄嗟に1番近くの下駄箱の裏に隠れる。
どうか、ここじゃありませんように…
身を最大限に縮こまらせ、息を潜める。
このドキドキ感は懐かしかった。
小さい頃、何度もかくれんぼをしたが、グラフ化したらその時の鼓動と同じ波長になるだろうと思った。
呑気にそんなことを考えていると、もう足音はかなり大きくなっていた。
逃げれば良かったなどと後悔してももう遅い。
ペタ、ペタ、ペタ、ペタ…
…裸足?
小首を傾げていると、足音が止まった。
どうやら、反対側にいるみたいだ。
ツーアウト満塁。
追い詰められたピッチャーはなんとかピンチを凌いだ。
ガサガサと荷物を整理する音が聞こえる。
時に止まったり、ビニール袋の音を盛大に響かせて、必死に何かを詰め込んだりしている。
「あっ…」
声が聞こえた。
と思ったら、私の真横にボールが転がってきて…止まった。
ヤバい…
背中から汗が一筋流れたところで、またペタペタと音が鳴り出す。
私の視界に泥だらけの足が映り込んだ。
私は観念して顔を上げた。
―――――ウソ…
なんで…
なんで…
「はるちゃん…」
私の呼吸が止まった。
大きなバッグを肩から斜め掛けし、さらに教科書でパンパンのリュックを背負っている。
大変そうだな、なんて、まるで他人事のように思っているが、私もあのくらい重い、いや、あれ以上重いものを背負っている。
ふう…
上り坂の疲れと目には見えない重い荷物のせいで、ため息をひとつ漏らした。
疲労感を全身から醸し出しながらゆっくり歩いていたから、昇降口に着く頃には完全下校時刻を大幅に過ぎ、ほとんど灯りが消えていた。
先生と鉢合わせしたらお咎めされる危険を感じ、急いでスニーカーを脱ぐ。
こういう時に履き慣れたスニーカーは有り難い。
すぐに脱げて、放置しておける。
階段に向かおうとして、足音が近づいてくるのに気づいた。
咄嗟に1番近くの下駄箱の裏に隠れる。
どうか、ここじゃありませんように…
身を最大限に縮こまらせ、息を潜める。
このドキドキ感は懐かしかった。
小さい頃、何度もかくれんぼをしたが、グラフ化したらその時の鼓動と同じ波長になるだろうと思った。
呑気にそんなことを考えていると、もう足音はかなり大きくなっていた。
逃げれば良かったなどと後悔してももう遅い。
ペタ、ペタ、ペタ、ペタ…
…裸足?
小首を傾げていると、足音が止まった。
どうやら、反対側にいるみたいだ。
ツーアウト満塁。
追い詰められたピッチャーはなんとかピンチを凌いだ。
ガサガサと荷物を整理する音が聞こえる。
時に止まったり、ビニール袋の音を盛大に響かせて、必死に何かを詰め込んだりしている。
「あっ…」
声が聞こえた。
と思ったら、私の真横にボールが転がってきて…止まった。
ヤバい…
背中から汗が一筋流れたところで、またペタペタと音が鳴り出す。
私の視界に泥だらけの足が映り込んだ。
私は観念して顔を上げた。
―――――ウソ…
なんで…
なんで…
「はるちゃん…」
私の呼吸が止まった。