幸せの構図
にっこりとこちらに微笑んだ。明らかに私に用がある。

「さきほどの方?」

「はい」

「ずっと校舎のほうを見ていたご様子だったので何かご用かと・・・」

先刻も思ったが近くでまじまじと見るとやはり凛とした美しさを持つ女性だった。かといって近寄りがたい雰囲気ではない。包むような優しい笑顔に同性の私でさえ引き込まれそうだった。
少しだけひざを覗かせた薄手のスカートが軽やかだった。
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