幸せの構図

何かもうひとりの私が私を包んでいるような不思議な感覚だった。
身動きできずにその場に立ちすくんでいた。

校舎の中にはまだ子供達の気配がした。高学年の子たちがまだ残っているのだろう。

私は現実に引き戻された。そろそろ予約したビジネスホテルに向かおうとした私の視線に先ほどの女先生がこちらに歩いてくるのが映った。きびすを返すのも不自然に思えたので、彼女の様子をうかがった。

どうもこちらに向かって歩いてくる気配だ。
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