幸せの構図
この店で、この場所ですごした10年以上の歳月。私が切り盛りしていた店。40度の高熱でも這うように働いた。包丁で指を3針縫うケガをしたにもかかわらず流血の指を心臓より高いところに上げて片手でフライパンを振り包丁を握った。バイトを総入れ替えをしたときの苦悩。それに着いてきてくれたわずかな仲間たちとの連帯感。売上と利益の最高記録を達成したあとの達成感と虚脱感を同時に味わった。その虚無感から刹那的に抱いた多くの女性たち。そこで知った女神達の優しさと本当に愛すべきは誰かということ、そしてその愛し方。腰を痛め、慢性的ストレスで頭痛と肩こりに悩まされるほど酷使した心とカラダ。働いて働いて働きとおした。自分でメニューを作りレシピを作り、ワープロ文字を切り張りしてパウチをかけた手作りのメニュー。チラシもワープロで作り印刷屋にイヤな顔をされながら印刷してもらい自分で配った何千枚という数。東京での人生の大半をここですごした。多くのことを学んだ。
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