幸せの構図
「ひろし君・・・私も山形に帰るんだよ」

なんだか意味深のことを言った冷子とは一つ布団に寝ながら手だけ握って何も出来なかった酸っぱい思い出がある。彼女は何故だか普通のOLになって普通に結婚したはずだが・・・

そして後藤さんに松田、小林夫妻、ゲジチョン。

皆年齢不詳な奴らでやっぱり変な奴ばかりだった。

私は目頭が熱くなった。ほんの少し前まで、不甲斐ない生き方をしていた私は彼らに後ろめたい気持ちもあった。しかし今こうして彼らを目の前にして彼らの声を聞き、彼らの顔を見てとてつもない安堵感を覚えた。

確かにりつこがいてくれて寂しい想いをしないではいた。しかし何か物足りないと思っていた。それが仲間の存在だった。りつこ以外にはたった一人、私と多くの共通認識を持つ仲間がいる。しかし仕事の忙しさと互いの私生活でゆっくりと話しも出来ないでいた。
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