幸せの構図
夕陽が陸の方に沈み、夕闇が海の方から迫ってきた。日本海側とは全く違う風景。この時間、海の方に伸びる影が不思議だった。

すーちゃんとの別れ間際、りつこが尋ねた。

「あの、離婚のことは他に誰か知ってますか?」

「まゆみちゃんには話したわ」

「えっと、確か小林さんの奥さん」

「そうですか・・・」

「ひろし君には教えるの?」

「もちろんです」

「ありがとう」

すーちゃんがお似合いの可愛い軽自動車に乗って帰っていった。

りつこはすーちゃんとの時間を噛みしめていた。

「会ってよかった」

すーちゃんと別れたあと、最後の目的地に向かう時間を測るりつこだった。

湘南も秋の夕陽はつるべ落としだ。
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