幸せの構図

視線を感じた。

例の子が私を見つめていた。目が合うと恥ずかしそうに目をそらして教科書に向かったが何度か同じことを繰り返した。なんだかこちらも恥ずかしくなって無理矢理「研修」に集中した。

休み時間ごとの彼女は男子の中で明るかった。立派なオネエだった。私のホームルームがきっかけで一人の子にどんな変化であれ与えることができたかもしれないと嬉しくもあったが彼女の視線が気になった。私への感謝なり興味から来るものだろうと推察してみたが当の私自身が揺れていた。あの視線を受けてなんだか甘酸っぱい気持ちになってしまっていた。

給食後の休み時間や午後の休み時間などは彼女の方から私に話しかけてきた。他愛もない、誰が聞いていてもありふれた会話だったがやっぱり甘い気持ちになってしまった。