幸せの構図
そんな気持ちを封じ込めるほどの作業を私は抱えていた。実習もあとわずか。最後の指導案作成と大学に提出するレポート作成が私には残っていた。実家が象潟の私が秋田市内に泊まっていたのは労働者向けの簡易旅館だ。そこに帰ってもそんな仕事がはかどる訳がなかった。放課後、私はいつものように図書室に向かった。

2階の図書室には数人の本好き少年少女がいた。だいたいが常連だ。私はグランドの見える窓際に席を決めて資料を広げた。図書の先生がいつも私のために遅くまでいてくれたのでその日も長期戦を気取って段取りを考えていた。秋晴れの後の夕焼けがグランドでまだ遊んでいる子供たちの影を長く伸ばしていた。
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