幸せの構図
りつこが階段を上り始めた。目の前にりつこの後ろ姿がある。

私も階段を上り始めた。

声をかければ聞こえる。

手を伸ばせばその小さな肩に触れることができる。

私はもはや確信していた。あの5年生のりつこが今目の前にいるりつこだ。私の背中に幼い想いの丈をぶつけてきたりつこだ。そのりつこと奇跡の再会を果たしながら互いに気が付かずにきた。

思えばすーちゃんのことを書いたmixiの日記が全ての始まりだった。いや、もっといえばすーちゃんその人、その存在そのものが私とりつこの絆を掘り起こさせてくれたんだ。

何か見えない力に突き動かされてここまできた2人。

りつこが一歩一歩階段を上っていた。
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