三次元に、恋をした。
「意外と、甘えん坊ですか?」

「そうかもな?」

そう言いながらも、ん?と頭を私の方に向けて今か今かと待ち構えている。

なんなんだ、この可愛いらしい物体は。

これが成瀬不動産の副社長だと誰が思うだろうか。

そんな彼の姿を独り占めしているんだと思うと、本当に彼と両想いになれたのだと実感した。

少し躊躇しながらも、失礼しますと声をかけ彼の頭に触れた。

黒髪のサラッとした髪からは微かにシャンプーの匂いがして、まるで猫のようにほころんでいる。
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