三次元に、恋をした。
背後から声がしたかと後ろを振り向くと、スーツ姿の男性が煙草を吹かしていた。

逆光で顔があまり見えない、けどなぜか私の名前を知っている。

コツコツと靴の音を鳴らし近づいて来た人物。


「なる、せ…… さん?」

「さすが。 覚えてもらえてて光栄です」

知らないはずがない。

うちの会社の取引先、不動産会社の営業部の成瀬 歳三(ナルセ トシゾウ)

仕事柄、会社と名前は覚えるよう努めているが成瀬さんはうちの会社では知らない人は数少ない。
< 24 / 198 >

この作品をシェア

pagetop