Honey ―イジワル男子の甘い求愛―
なんかすごい飛んだ話をしていたけれど放っておいて大丈夫なんだろうか……。
おじさんは優秀だから、すぐに同棲する部屋を見つけてしまわないだろうか……。
腕を掴まれたままの私は、半ば引きずられるように歩かされて、そのままアパートの敷地から出る。
もう、真夏と言ってもいいような空の下、太陽の日差しが肌をじりじりと焼く音が聞こえてきそうだった。
そんな炎天下だからか、道を歩いている人も少ない。
さっき涼太は〝帰る〟って言ったけど……どこに向かっているんだろう。
疑問に思いながらも、なんとなく話しかけるのをためらっていると、涼太の視線に気付く。
見れば、顔半分振り向いた涼太が不機嫌そうな顔で私を見ていた。
「なに、さっきの」
「さっきの?」
「親父に言ってたやつ」と説明されて、あ……と思う。
勝手にあんなことを言ってしまったから。
半歩前を歩く涼太を見上げて謝る。
「ごめん。なんか黙ってられなくなっちゃって……。家族の話なのに……」
「そうじゃねーよ。ああいうのは普通、最初に俺に言うもんだろ」
ぴしゃりと言われ……「ああ……うん。ごめん」と、再度謝ってうつむく。
さっきは感情に駆られてついおじさんにああ言ってしまったけれど、あんな場で告白なんて今考えると恥ずかしい。
涼太だってしっかり聞いていたのに、それをわかりながらもあんなこと……と、今さら恥ずかしさに襲われていると、涼太が聞く。