信じることはとても愚かで美しい。



え!?


記憶にないけど…。


「早く。」


「あ、うん。」


せかされて、躊躇しつつもゆっくりと乗る。


よいしょっと言う声と共に立ち上がる蓮。


その反動で思わず、蓮にギュッと抱き着く。


「あ、そんなに思いっきりくっついたら…」


麗の声がする。


え?


「お、おい…くくくくっつきすぎじゃないか…?!」


あ、そう言えば。


蓮、ウブだった。


メガネをかけないといけないというとんでも設定があったな…。


前に乗り出して胸ポケットからメガネを取り出す。


うわぁという蓮のマヌケな声を耳元で聞きながら、カチャッとメガネをかける。


「おい、いきなりメガネかけんなよ。」


あ、ウブ反応なくなった。


行くぞっと言う声と共に階段を降り始める蓮。


そのたびに微かにするシャンプーのにおいを感じながら、背中に頭を預ける。


やっぱりうるさい心臓の音が聞こえてないように願いながら。




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