信じることはとても愚かで美しい。
大広間に行くと、すでに人が集まっていた。
蓮にゆっくりおろされる。
「ありがと。」
「ん。」
離れていく温もりをちょっとだけ寂しいと思ったのは私だけの秘密だ。
ゆっくりと中心へと歩いて行く蓮。
「何度も集合かけて悪い。」
そう言う連は、メガネかけてないときより凛としてて。
なんでメガネ…という疑問がずっと頭を回っている。
そんなどうでもいいことを考えてる間にも、蓮は話を続けてて。
不意にこちらを向いた。
「菜緒、お前には人をまとめる力がある。だから…昇爛の姫に…」
蓮がそこまで言ったとき。
「ならないよ。」
話をさえぎって言う。
多分、言われるだろうな…って思ってた言葉。
だけど…私は…。
「私は、守られるだけの姫にはなりたくない。」
それに…信じてもらえない立場だから。
なんて、それは私の偏見かもしれないけど。
「私は…戦いたい。」
そう言いきる。
「…まあ、そう言うと思ったけどな。」
蓮がポンポンっと頭を撫でてくる。
「…って子ども扱いしないでよ!」
思わず反論する。
なりっぱなしの心臓の音が聞こえそうで大声で叫んでしまう。