信じることはとても愚かで美しい。



教室に入って机に行く。


机に教科書を入れようとすると。


カサッと言う紙の音がした。


机の中をあさって、取り出した。


二つ折りの手紙。


恐る恐る開いてみる。


「っ…!」


その内容は…


『双竜の元姫、篠原菜緒は裏切り者。』


血のような赤黒い文字で書かれた手紙。


思わず身震いする。


誰が…こんなこと…。


私が双竜の元姫だって知ってる人は多分いないはずなのに。


なんで今になって…?


正体の分からない恐怖に吐き気が襲う。


「うっ…」


口元を押さえて教室を出る。


その途中、


「あ、菜緒、おは…」


という声が聞こえたけど、そこまで気が回らなかった。


トイレに駆け込んで心臓を押さえる。


はぁはぁ…という荒い息が聞こえる。


「大丈夫、大丈夫…。」


そう、言い聞かせる。






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