俺様御曹司とナイショの社内恋愛
「金木ディレクターは独立して、株式会社INNの代表取締役を務めてますが、ゲームクリエイターとしての手腕は相変わらずのようで。
天使と悪魔をテーマにした新作は、発売前なのに予約殺到中だとか」

そ、そんなことをズケズケと・・・
はたで聞いているだけで、肝が冷える会話だ。
それにしても、白石の口調のよどみないこと。徹底したリサーチぶりがうかがえる。

雪瀬さん、と白石はおかまいなしにたたみかける。
「旧作のシリーズ化だけでは、いずれ先細りになるのは目に見えています。
新しい作品を企画し、発売していかなければならないと思うんですが・・・」

ごもっともです、雪瀬が重い息とともに言葉を吐く。

そんなことは、白石に言われずとも、雪瀬とて分かっているだろう。

「今日は、参考になればと思いまして、年代別に女性を対象にしたアンケートの結果をまとめてお持ちしました」
言いながら、白石が鞄からファイルを取り出す。

恐縮したように、雪瀬がそれを受け取る。

「うちの課に、マーケティング畑出身の者がいるので、協力してもらいまして」

———沢木さん、もともとマーケティングリサーチの分野でバリバリやってたんだけど
白石の言葉が思い出される。
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