俺様御曹司とナイショの社内恋愛
「沢木さん、あまり付き合えなくて悪いね、ってコレ渡してくれたんだよね。お勘定払っても、ずいぶんお釣りがきそう」
白石がスーツの内ポケットから、封筒をちらりとのぞかせる。

「そんな・・」

「気遣いの人だね。俺も自由にやらせてもらってるし。病気で一線を引かざるをえなくなったけど、腐るわけでもなく。必要なときは手を貸してくれて、ずいぶん助かってる」

沢木さん・・・

「というわけで、飲もう。川本さん」

「えっ!」

「お金余らせるわけにもいかないでしょ。だいじょうぶだよ、明日は休みだし」

それは、まぁ・・・

白石がウエイターを呼び止めて、ボトルの赤を一本追加している。

———今日はチリのワインがおすすめです、
———じゃあそれで、口当たりが軽めのがいいな、

なんだか前の部の飲み会とは全然違うな。
前はもっと人数が多くて、ワイワイしてて、こんなしゃれたお店じゃなかったけど。アットホームな雰囲気で、ときどき真面目に仕事談義に花を咲かせたりなんかして。
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