俺様御曹司とナイショの社内恋愛
———・・・・
ぅ〜ん・・・と・・・朝?・・きょう何曜日だっけ・・?

「おはよう、川本さん」

やけに爽やかな声が、濁る意識を鮮明にする。

自分のベッド・・・じゃない。
パジャマを・・着てない・・・

この状況は、そんな、まさか———

「ひ・・っ・・いぁ・・やぁぁ・・」


週末は、自己嫌悪という名の底なし沼にはまって、のろのろと時間が流れた。

最低・・・どうしてこんなことに・・・

あの人は、白石諒は、どう思ってるんだろう。

彼にとっては、ときどきあるアバンチュールにすぎないのか。

それにしても、一夜の過ちでも男女ではどうしてこうも違うのか。

「川本郁ってさー、固そうに見えて、酔うと簡単だったよ」
そんなことを男同士の酒の席でネタにされているのを想像しただけで、死にたくなる。

男性は武勇伝?の一つにもできるのに、女性は尻軽女なんて、軽蔑や好奇の目で見られるだけだ。
だから「忘れてください」と言ったのに。お互いにそのほうがいい。

「忘れませんよ」という白石の返し。

どうして・・・

考えようによっては、彼に弱みを握られたようなものなのかもしれない。

それに・・・仮に「なかったこと」にしたところで、恋人でもない男と寝てしまった事実は取り消せない。
生々しく身体に残る感触と痕跡が、逃れようもなくそれを告げる。


「ゔぅ・・も・・イヤ・・」
ベッドの上で身をよじり、ボスッボスッ、と枕を叩く。なんの解決にもならないのだけど。

ついでにベッドに横になっていると、白石との行為を連想してしまい、余計にいたたまれない心地になった。
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