俺様御曹司とナイショの社内恋愛
「プライドは高いけど、あれは実(じつ)のある男だとあたしは思うねー」

その実(じつ)のある男と、過ちを起こしてしまいまして・・・

「あちらから挨拶してくるし、雨の日に『滑りやすいから気をつけてください』って声かけると、『ありがとうございます』って人の目見て言えるしね。
上にいけるのは、ああいう人だね」

小宮山さんの慧眼に、内心舌を巻く。よく人を観てるなあ。

実のある男、かぁ・・・そりゃ、悪人だと思ってるわけじゃないけど・・・

気まずさに、うつむきかげんでデスクに向かう。白石諒は、すでに出社していた。

「おはよう、川本さん」

「ぉ、おはようございます」
目を見られない。

あ、沢木さんは? 姿がないので、気になって問うてみる。

「午前中は病院だって」

こんな朝に二人なんて、なんともはや、居心地が悪い。
パソコンを立ち上げたものの、まるで画面に集中できない。

体の左側に意識を奪われ、そちらに向いた肌まで過敏になって、ひりひりしている。
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