俺様御曹司とナイショの社内恋愛
———くちびるをふさがれて、息ができない。

重ねられた彼のくちびるは熱く、むさぼるように、郁を求める。

「・・ん・・ぅ・・」
切れ切れに、言葉にならない声が、吐息にまじって漏れる。

やめてと言いたくて、言えなくて。
ようやくくちびるを解放されれば、もう訴える意味はない。とりあえずやめているのだから。

気づけば、彼の腕の中だ。

「・・・どうして、こんな・・」
力無いつぶやきがもれる。

「———欲しいよ、きみが」
ためらいなく、白石がそう口にする。

「・・なんでわたしなんですか?」

なんでわたしが下手に出てるんだろう。
やっぱり上司だからか・・・それとも・・・

いつ頃からだっけな、ひとり言のように白石がつぶやく。
「掃除のおばさん、小宮山さんだっけ、と朝エントランスで仲良さげにしゃべってる女の子を見かけるようになって。
俺のことはスルーで、小宮山さんとは楽しそうでさ」

普通は逆なのに、と付け加える。
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