俺様御曹司とナイショの社内恋愛
「なるみ先生、どうも、いきなり呼んでしまってすみません」
雪瀬の声には親しみがこもっている。

「いえ〜、どうしたんですか雪瀬さん」
空いている椅子に腰を下ろしながら、ちらっと白石と郁に視線を走らせる。

「こちらは、うちが著作権管理とかでお世話になっている会社の方たちです。
そろそろ新作の企画をという話になりまして」

「あらぁ、今度はどんなのやるんですか?」
瞳に好奇心をひらめかせて問うてくる。その反応は無邪気といってもよかった。

「それなんですけど、“年下攻め” ってどうかなと思いまして」
興奮しているのか、雪瀬がやや早口で告げる。

「“年下攻め” ですかぁ・・」

なるみ女史の反応は、いまひとつといったところだ。

知らず、期待に息をつめていた郁は、自分が感じている落胆の大きさに驚いていた。

ダメなんだろうか、雪瀬は乗り気になってくれたけど。

「ん〜、年下男子だと、ふつう求められるのって可愛いキャラですよね。
弟系クリーミーボーイか、わがまま気まぐれ小悪魔タイプか。
あとどんなキャラがありますっけ?」

「んーー」と雪瀬が腕を組む。
「そこはスタッフと企画会議で、もっとキャラ設定をつめないと・・・」
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