俺様御曹司とナイショの社内恋愛


そもそもことの起こりは、一ヶ月前———


「川本くんに、異動してもらうことになった」

部長からの内示は、まさに青天の霹靂だった。

「そんな・・・なんでですか」
そう問う自分の顔は、青ざめていたことだろう。

「異動先の部署からの要望らしい。川本くんを指名で、断ることもできなくて・・・」
部長も当惑の表情を浮かべていた。


大学卒業後、郁がこの準大手総合商社に入社し、住宅環境部に配属されて早5年目。
自分なりに一生懸命仕事をしてきた。

特に、営業アシスタントになってからというもの、我ながら成長著しいと思っていた。

これが阿吽の呼吸っていうんだろうか、そんなことを時々思えるくらい。
営業マンの考えを汲み取って、言われずとも相手の求める仕事ができる。
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