もし、キミが今ココにいたらまだ私は好きだったのかもしれない
No.4
そんなことを考えてたら

体育大会当日になった

私と龍星2人とも5・6年1組だから

同じ赤組だ

ちょっと楽しみな競技がある

『男女混合リレー』だ

小5と小6は組体操をした

組体操をするのはもう仕方ないと思って

諦めたけど

龍星と真逆の場所だったのは

ショック…

誰かがわざと真逆にしただろ!!

でもたぶんそれはないと思うけど…

組体操、無事に何事もなく平和に終わった


…と思いきや

後で写真を見てみると

すっっごく不機嫌そうな顔で組体操してた

私としたことが…ありえない

恥ずかしい…


なんと運動神経の良さのあまりに

応援リーダーに抜擢された龍星

キャーーーーーー!!

やっとテンションマックスになった私

だってキミが応援リーダーの服着てるだなんて

イケメン過ぎる

ヤバイさすが私の『好きな人』

みんなには見せたくないな

とられちゃいそう…

「私、龍星しか見てないから応援合戦頑張ってね」

「俺もお前しか見てないよ」


…なんて言われたら最高

だけど俺様男子がそんなこと絶対言わない…

あーあ性格も変えればいいのに

でもあの応援服着てるだけで

もう反則だよ

目の保養だなあれは


『パシャッ』

ん?

『パシャッ パシャッ パシャパシャパシャ』

いきなり保護者の連写ラッシュが始まる

何をそんなに撮ってるんだい?

たぶん私の龍星だと思う

だってカッコ良過ぎるんだもん

それはもう、他の人には見せたくないくらいの

ホントにびっくりした


え…!?

『私の龍星』!?

いつの間に私って独占欲強くなったんだろう

あ…

応援合戦終わっちゃった…

あーあずっとあの服着とけばいいのに…


「召集放送をします

男女混合リレーに出場する選手は入場門に集合して下さい」

はい!

待ってました!男女混合リレー!

『イヤだなぁ』とか

いままで散々言ってたくせに~

意味わかんないよぉ

とか思ったでしょ?


説明しよう。

私はじゃんけんで負けたから

龍星は強制的に

出なくちゃいけなくなってしまった2人

私はアンカーの1つ前。

もちろん足の速い龍星はアンカーだ。

イコール

『私のバトンを龍星が受け取る』

と言うことなのだ。



昼からとか

どれだけ他の競技が暇だったことやら

ブツブツブツ…

昼からテンションマックスになる私

いまさらなんだけどね

よし、いままでの努力を出しきってやる!

ちなみに体育大会前日

夜50メートル走→9,2


そして今年はラッキーなことに

赤組は足が速い人大集合してるのだ

それに比べて白組は

足が普通いわゆる一般人の集合体

だから赤組がほぼ100パーセント勝つ

だろうとみんな言ってるのです


だから私1人くらい

足が遅くてもいいよね…?

龍星いるし巻き返してくれるよ

きっと…


パンッ!

スタートの合図だ!

うん

よしよし順調

もちろん赤組が1位!

段々開いていく白組との差!

あ!

次私の番じゃん

でも大丈夫

1人一周ずつなのに

半周近く差がついてるもん

これはどんなに速くても無理

前走者が来た!良し!

『いける!』

心の中で私は自分に叫んだ

「パス!!」

私を信頼しきった目だった

期待に応えるために

私なりに精一杯頑張ったけど

最後の最後で追い抜かれてしまった…

ラストカーブを走りきった所で私は叫んでいた

『龍星~!!頑張ってね!!はい!』

テイクオーバーゾーンギリギリに

立っているキミに私からのエールを告げた

「おう!絶対追い越してやる!」

走りながら前を見ていた龍星は応えてくれた

その龍星の声からは真剣さを感じた


最初の方は

トップスピードで走ってたけど

白組を抜いた所でバテ始めた

最後の最後まで接戦が続く…

おい抜いておい付かれて

おい抜いておい付かれて

またそれの繰り返し…

隣に座ってた友達が

「どっちが勝つと思う?」

そんなの決まってる…

『私は…絶対龍星が勝つって信じてる!!』

リレーで走ってるアイツに聞こえるように

精一杯の大声で叫んだ


その声がキミに届いたのか

ゴールテープ直前でキミが

ホントギリギリで…パンっっ!!

ゴールテープを切る『龍星』は

私の方を向いてガッツポーズをした

別に私の声が届いたかなんてどーでもいい!

ただキミの笑顔が見れただけで

私も嬉しくなった


「…退場!」

じじくさいあの上坂先生の声が聞こえてきた

私は退場して真っ先に龍星を抱きしめた

『よかったぁ』

『負けるかと思ったじゃんバカ!』

思わず抱きしめてしまった言い訳に

女子っぽい発言をした

「このオレが負けるとでも思ったか?」

ちょっと決め顔で言ってくる

『でも途中超接戦だったよね?』

ちょっといじけた顔を見れると思って言った

「あーあれは場の雰囲気を盛り上げるため」

言い訳すんなよ!イメージと全然違うわ!!

「てかお前」

『んー?』

「なんで半周あったのに追い抜かれてんの?」

にやつきながら私をバカにしてきた!!

『場の雰囲気を盛り上げるため』

キミと同じウソをついた


なんかまわりが騒々しいような…

あ…//////

私達抱きしめたまま話してたなんて…

周りが見えてなかった…//////

まあいいや

『幸せって証だね』「幸せって証だな」

『えぇ!?』「え!」

まさかの声がそろう

しかも2回も!!

慌てて口をふさぐ私

きょどるキミ

同じような2人の行動に笑いが止まらない


こんな幸せな時間(とき)が消えませんように…



あぁ体育大会楽しかったぁ

私はなんとなく思った

打ち上げとかしてみたいなぁ、って。

『みんなで打ち上げしよう!』

休憩時間にクラスのみんなに聞こえるように言った

今思えば小学生で打ち上げとか早っ!

『私もその打ち上げ参加~♪』

クラスで1番かわいいの学級委員の参加

「あ!じゃあオレも」

は?お前ら絶対学級委員狙いじゃねーか!

「てめーも行くよな?松尾!」

松尾と言えばクラスのゆるキャラ的存在だ

「え…僕…?」

低身長でかわいくて無口で

たまに吐き捨てる毒舌が女子に人気だ

いわゆる『ギャップモテ』だな

『マジ!?松尾も行くの?』

クラスのギャル達も騒ぎ出した

『じゃあうちらも行くわ!』

これでクラスのほとんどの人が参加

でも龍星は居ないんだけどね

別にいいもん

クラスの打ち上げとは別の日に2人きりですればいいから♪


『ねぇ龍星は何かしないの?』

最近覚えた『決め顔』で聞いてみた

「は…?オレかよ…」

だるそうに言った

『みんなでしようよぉ』

アヒル口攻撃だ!

みんなって言ってるけどホントはウソだよ

「だからオレはたくさんの人間が居るからイヤなんだよ!!」

ちょっとキレぎみに答えた

『じゃあ2人だったら…?』

ちょっとこれは期待してもいいの?

『2人だけならいいの?』

「あぁもう!!」

ワックスでキレイに整えてあった癖っ毛を

くしゃくしゃにしながら答えた

「お前と居ると調子狂うわ!」

『え?どういうこと?』

ホントに期待してもいいヤツ…?

「だーかーらー!!」

「"2人だけ"なら打ち上げ参加してやってもいいぞ?」

『はい…?そんなに上から言うなら私が参加しないから!!』

「はいはい上から言ってごめん」

「打ち上げ明日の振り替え休日午前10時」

「オレん家に来いよな?」

『仕方ないなぁ』

「よしオッケー」

なんだかんだ言いつつも優しい所好きだなぁ

「お前明日暇だから打ち上げ考えたんだろ?」

もちろんだけど…??

『…ん?そうだよ?』

『あ、でもクラスの打ち上げあるかも…』

何が言いたいのかよくわからない

「じゃあその打ち上げ拒否っとけ」

えぇぇぇぇぇぇぇ

打ち上げとかしてみたかったのに…

でももちろん龍星と2人きりの方が優先だけどね


やっと振り替え休日…

あ…そう言えば

クラスの打ち上げキャンセルしなくちゃ

アイツからはドタキャンしろって言われた

けどそんなの申し訳なさすぎでしょ!!

ましてや男子と遊ぶためなんて…

ま、いっか


ヤバい

ドタキャンに悩んでたらもう午前9時半

あと30分しかないじゃん

『ピンポーン』

ホントギリセーフ!

せっかくキミから誘ってくれたデート…??

なんだもん!

絶対遅れたくないよ


まずどこ行ったっけ…?

映画館行ったね

2人で見ようと思ってた

ホラー系は席が空いてなくて諦めた…

映画館でちょうど『カップル割』があってて

カップル偽装したのめっちゃ覚えてる

でもカップル割は

ペア席であると言うことを知らなかった


説明しよう!ペア席とは

2人の間の仕切りがない席のこと

小さいソファーみたいな…?



映画を見終わってから

隣の建物のボーリング場に入った

ボーリングなんてしたことなくて

人生初のボーリングだった!!

意外とボールが重いことを知った

ボーリングは端っこの

ガーターに落ちてばっかりで

全然楽しくなかった

もう2度とボーリングはしないもん!

けどキミの近くに居られた時点で楽しいんだ

ボーリングが終わった頃には

もう午後5時

私の門限は6時だったからあと1時間しかない

しかも家に帰るまでココから30分かかる

だから実質30分しか残ってない…

ボーリング場の隅っこにある

ミニゲーセン的なところでゲームした

コインゲームは開始5分でコインぎれ

あとの25分で2人でプリクラを撮った

とても楽しかった


プリクラの中の私達は

現実とは全く違う

別の世界の私達がラブラブに写っていた

ホントのカレカノみたいだ

いつかこうなることを願ってた


このプリクラだけは大切に保管してる
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