それはちょっと
昼休みになった。

部長が自分のデスクから立ちあがったことを確認すると、私も後を追うように自分のデスクから腰をあげた。

オフィスを後にすると、
「部長」

私は彼の後ろ姿に向かって声をかけた。

「何だ、南くんか」

部長は振り返ると、それは嬉しそうに私に微笑みかけた。

その微笑みに、私の胸がドキッ…と鳴った。

いや、違う違う!

気を取り直すと、
「部長、何があったんですか?」

私は彼に声をかけた。

「それは何のことなのかな?」

私の質問に、部長は笑って首を傾げただけだった。

「とぼけないでくださいな!」

答えようとするどころかごまかそうとする部長に私は言い返した。

「“あの話は本当なのかな?”って言ってるの、はっきりと聞こえていましたでしょ?」

そこまで言って、私は気づいた。
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