それはちょっと
W支社があるところは…私の記憶違いじゃなかったら、隣の県だったと思う。

「近いんですね」

もっと遠くに異動するのかと思っていたけれど、意外と近い場所で驚いた。

「でも、近くても南くんと離れるのは寂しいな」

部長はそう言って笑った。

本当に、私は彼に愛されているんだなと思った。

「もし異動になったら、すぐに会えるからいいじゃないですか。

車とか電車を使って行けるじゃないですか。

私、免許持っていますし」

そう言った私に、
「会えるからとか近いからとか、そう言う問題じゃないと思うよ」

部長は言った。

「でも、まだ決まった訳じゃないんでしょう?

そう言う話が出ていると言うだけなんでしょう?」

「うん」

話を続ける私に、部長は縦に振ってうなずいただけだった。
< 69 / 90 >

この作品をシェア

pagetop