君を愛した時間〜残した宝物
「…やめろ…」
「…えっ?…」
「…お腹の子諦めろ」
≪!?≫
「何言ってるの!?そんな事…」
「だったら!死ぬなんて言うな!!」
≪!!≫
私は、胸が痛く…苦しくなった。
「…ご…めん…なさ…い」
私の頬に、ポロポロと涙が流れた。
「…ごめん言い過ぎた…」
「………」
私は、大きく頭を左右に振った。
「…死ぬかもしれないなんて言っちゃ駄目だ…セラ、お腹の子…産みたいんだろ?」
「…は…い」
「なら、赤ちゃんが生まれてきて、ママが居なきゃ…赤ちゃんが可哀想だ…」
「……うん」
「セラが、選んだ道だ…最後まで、生きる事を諦めないでほしい…赤ちゃんが生まれたら直ぐに、セラの治療が始まる…松村先生に聞いたように、今は治療をまともに出来ていない…リスクは高いと知っていながら…セラは赤ちゃんを決めた…そうだったよな?…」
「…うん」
「弱音を言うな!…セラはママになるんだろ!?…俺と松村先生が、セラと赤ちゃんを助ける…必ず!…」
直君は、ニッコリ微笑んで言った。
「…ありがとう…」

家に帰ってきた私は、考えていた……心の事を…。

心に、赤ちゃんの事を言うべきか…それともこのまま…。




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