君を愛した時間〜残した宝物
誤解〜溢れる想い
「誰?…」
小声で、誰かが私の名前を呼んだ。
「……」
「誰なの?」
私は、下を見下ろした。
「セラ!」
「直君!何で?…」
「シッー!」
直君は、木の間から顔を出し手を振った。
「ちょっと、外に出てこれるか?」
直君は、小声で言った。
「う、うん…」
私は静かに階段を下り居間に居る、おじちゃんとおばちゃんに見つからない様に裏口から出た私は、玄関に周り外に出た。
「はぁー!」
「ごめんな!」
外を出ると、直君はニコニコしながら誤った。
「どうしたの?」
「嬉しい報告があってさ!」
「報告…?」
「うん!おじさんに見つかったら大変だから、ちょっと離れないか?」
「…うん」
おじちゃんは、夜8時過ぎの外出は許してくれない…私と直君は、家から離れ、坂下の公園に向って歩きだした。
――ベッドの上に横になり目をつぶった…俺は、この先本気で恋ができるのか?『女を恨んでいる、お前が?』誠の言った言葉が、頭を駆け回る…。
俺は、セラを…苦しめてしまうのか?…。
セラを抱き締めた、あの温もり…あの安心感…セラ…。
「あぁー!!ちくしょう!!…」
俺は、ベッドから起き上がり、そのまま外へ出た。




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